対面での営業活動が中心だった時代は終わりに向かいつつあり、代わりに「インサイドセールス」が営業活動の中心に変わりつつあります。
大変動しつつある営業活動の中、ただ新しいものに飛びついて古いものを捨ててしまうのでなく、既存の販促リソースをいかに有効活用するかが重要になります。
そこで、今ある販促ツールを少し見直すことで、新しい時代の営業に対応させる方法をご紹介いたします。
新しい時代の営業スタイル
インサイドセールスって何?
それでは、インサイドセールスとは何かを解説していきましょう。インサイドセールスとは、これまでの営業活動とは違って、内勤(Inside)中心で行われる営業活動のことです。
これまでの外勤中心の営業スタイルでは、営業担当者各々が自身の担当するお客様に対してテレアポをして訪問許可を取り、お客様へ訪問してお困りごとを聞き、提案を行い、そして契約を取る、という営業方法が一般的でした。
けれども、コロナ禍によって訪問があまり行うことができなくなり、この営業スタイルをとることはかなり難しくなってしまいました。
そこで、国土が広く直接会うことが難しいアメリカや中国、また営業活動で国をまたぐことが多いEU諸国のような場所ではすでに主流となっていたインサイドセールスがわが国でも注目され始めたのです。
インサイドセールスは、ウェブサイトなどに商品の資料や自社独自のコンテンツを載せて、資料をダウンロードした方には案内メールの送付やテレアポなどでコンタクトして、将来的に契約を結べそうな「見込み顧客」をつくり、相手の積極性によって見込み顧客を区分けして、確実に契約できそうな相手のリストを営業担当者に渡すというスタイルです。
相手のニーズがあって初めてメールやテレアポなどを行うため契約の成約率が高く、移動のために最も時間とコストがかかる訪問を最小限に済ませることができるため、営業活動を効率よく行うことができるようになります。
インサイドセールスのメリット
インサイドセールスのメリットは以下のようなものです。
アプローチできる数が多く、効率的
見込み顧客に対して直接会って話すのではなく、メールなどで多数にアプローチする手段をとるために、商談に出向くための移動時間は契約を行うタイミングまで不要です。このため、インサイドセールスは同時に多数の相手に効率的にアプローチすることができます。
少人数でも行える
インサイドセールスはアプローチできる数が多く、移動も不要なため、少ない人数で営業活動を行うことができます。見込み顧客を探すメンバーと、契約を取りにいくメンバーはインサイドセールスでは別々のため、さらに少人数で営業活動が可能になります。
属人的になりづらい
これまでの営業活動では、お客様のニーズの判断やテレアポの方法、面会機械の構築などはすべて一人の営業担当者に任されており、結果担当者が変わると成約率が落ちるなど非常に属人的になりやすいという難点がありました。
インサイドセールスは定量的なお客様の反応(たとえば、ウェブサイトから資料をダウンロードする、メールマガジンから記事を毎回チェックしているなど)から見込み顧客を作るため、仕事内容を標準化しやすく、属人的になりづらいという利点があります。
インサイドセールスのデメリット
もちろん、インサイドセールスは万能の魔法ではありません。デメリットも存在します。
情報共有をこまめに行わなければならない
インサイドセールスの担当者は多数の相手にアプローチを投げかけるものの、最終的には営業担当者に情報を渡して、契約を取ってきてもらう必要があります。このため、インサイドセールスの成功のためには、インサイドセールスの時点で相手がどのようなコンテンツに興味を持ったかを伝えるなど、インサイドセールス担当者と営業担当者との間で密なコミュニケーションを取り合う必要があります。
見込み顧客の時点では関係は浅くなりがち
あくまでも広く浅く手を広げてゆき、多くの顧客にアプローチするのがインサイドセールスです。そのため、見込み顧客の時点ではあくまでも興味を持ってもらったレベルにとどまる事も多く、個々のお客様との関係構築は営業担当者に任せることになります。
インサイドセールスに必要なDX(デジタルトランスフォーメーション)
インサイドセールスは非常に効率がよく、よりよい営業活動のためには必ず実施すべきものですが、そのためにはDX(デジタルトランスフォーメーション)が必要です。
DXって何?
DXとは、デジタル技術の進歩によってより良い社会が作られる、という考え方から生まれた、IT技術を使って事業の業績や対象範囲を変えるという意味の言葉です。
インサイドセールスを行うためには、まずウェブなどを使ったコンテンツ配信、次いでコンテンツを視聴した顧客へのメールマガジン・ダイレクトメールの送付、開封したお客様に向けた更なる情報発信などが必要になります。これらの工程はインターネット時代だからこそ可能になっており、ゆえにインサイドセールスはDXから生まれた新しい営業スタイルといえます。新しい営業活動を行うためには、既存の販促ツールもDXに対応できるように変える必要があります。
既存の販促ツールを見直してみよう
DX時代がやってくるなら、既存の販促ツールは役割を終えたのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。重要なことは、既存の販促物、たとえばカタログのあり方を見直すことです。まったく新しい営業スタイルにもっと適した形へとカタログを変えることが、まずはインサイドセールスの一歩目となります。
考えてほしいこと①:カタログの役割を再確認する
カタログのあり方を考えるためには、「どうして(なぜ)カタログを作るのか」という目的を明確にする必要があります。その上で、現在のカタログの構成が適切なのかどうかをもう一度考えてみて、最適ではないならその目的をゴールとして、カタログを作り直すのがいいでしょう。
適切なカタログを作るためには、以下のような点に注意してみましょう。
製品カタログの目的・ターゲットを明確にする
「どうして(なぜ)カタログを作るのか」への回答を考えて、それが現在のカタログで達成できるか考えてみましょう。
たとえば、特定の商品を特に売り込みたい、という目的があるのなら、メインとして売りたい商品がカタログの最も目に付く部分に掲載されているかを考えます。また、商品購入のためにはどこで何をすればいいかが簡単に分かるようになっていなければなりません。
また、目的とカタログのターゲットがあっているかも考えなければいけません。相手の知識によって商品の説明にどの程度ページ数を割くかなども変わってくるでしょう。たとえば現場の技術者をターゲットとしたカタログであれば、その方が使う機器に関してはある程度前提となる説明を省いてもいいでしょうが、購買担当者や経営者をターゲットにするなら前提となる知識についてページを割く必要があります。
カタログのデジタル化
現代人が知らない商品名を見た場合、最初に行うのはGoogleに質問を投げかけることです。そして、検索結果にその商品の詳細が出てこなければ、購入のターゲットから外れてしまいます。BtoBビジネスでも購入に踏み切る意思決定の際にもっとも重要視されるのはWebサイトの情報です。
また、対面の商談が行えない場合でも、カタログを電子化してWebサイトに載せ、メールなどでお送りすることでお客様に情報を届けられるようになります。カタログ制作を外注する場合は、データをデジタルカタログに合った仕様のPDFに書き出したり、ランディングページに内容をコンバートできる業者に依頼をするのがいいでしょう。
また、カタログの各ページに二次元コードなどを活用して、ECサイトや商品の詳細説明ページへのリンクを張るのも効果的です。
カタログのショートフォーム化
インサイドセールスの場では、直接訪問の前にカタログを見てもらいたい場合、デジタルカタログのURLを伝えるか、もしくはショートフォームカタログを送付するのが良い方法です。ショートフォームカタログとは、カタログのうちお客様の人気が高い商品部分や、自社が売りたい商品の部分を中心に内容を再構成して、カタログを短縮版(ショートフォーム)にしたものです。ネット上に掲載するにせよ、お客様にお送りするにせよ、あるいは成約直前に営業担当者が商談などにカタログを持っていく状況でも、フルバージョンのカタログよりショートフォームのカタログのほうが見やすいですし、情報も伝わりやすいでしょう。
考えてほしいこと②:カタログ仕様を決める
どのようにカタログを変えるかを考えたなら、次はカタログの仕様を決めましょう。
スペースマネジメントにしたがってページ配分を決める
商品カタログを作るときには、取り扱う商品それぞれにカタログの何ページをあてがうかを考えなければなりません。そのときに使う考え方が「スペースマネジメント」です。
スーパーの食料品の棚をイメージしてみてください。あなたが店長だとして、品質や利益率が良くお勧めしたい商品Aと、比較してさほどお勧めしない商品Bがあるとします。
売り場の大きさを変更することができない場合、あなたは商品AとBをどのように配置するでしょう?
多くの人は商品Aを来店者の手に取りやすい位置に、かつ売り場を広くとって置き、商品BはAに比べて狭い売り場に配置するでしょう。
これを「棚割り」と呼びます。
この「棚割り」の原理、実はスーパーマーケットだけではなく、広告や宣伝にも使うことができるのです。広告や宣伝に対してこの棚割りを使用する場合、「スペースマネジメント」と言う名前で呼ばれます。
スペースマネジメントについては、詳しくはこの記事を参考にしてみてください。
1ページあたりの情報量に注意する
1ページに大量の情報を入れてしまうと、分かりづらくごちゃついたカタログができてしまいます。情報量を増やそうとするとどうしても大量の文章を詰め込むことになりますが、そのようなカタログは内容を把握するのが難しく、商品購入につなげることが難しくなります。
人間がカタログを見たとき、まずはすばやく全体像を見て、それから興味がある部分を細かく確認するものです。ぎっしりと文字が詰まっている場合、内容をざっと把握することができないまま、内容を飛ばしてしまいます。
1ページ(もしくは、見開き)の情報は、視線誘導を意識して見やすい量を配置するのが良いでしょう。
どうしても1ページ内の情報量を増やしたい場合は、QRコードなどを利用し、Webサイトへのリンクを張るのもひとつの方法です。
検索性を重視する
カタログのページ数が増えるほど、検索性を意識しなければなりません。特に分厚いカタログでは、検索性を高めるガイドが必要となってきます。
そのため、カタログの上部(ヘッダー)や小口(サイドナビ)に各カテゴリの商品やページに容易に移動できるようなインデックスをつける必要があります。
この時、現在開いているカテゴリに色を付けて、他のカテゴリはグレー表記にするような方法で「今どこを見ているのか」が分かりやすいようにする必要があります。
たとえば、車両のカタログをイメージしてみてください。ページのサイドにインデックスとして「ワゴン」「コンパクト」「クーペ」などのカテゴリがあり、「ワゴン」の部分に色がついていれば、ワゴン関連の商品が現在のページで、次をめくればコンパクト、その次にクーペが来るとわかるでしょう。
このような方法によって、カタログの検索性が向上し、効果の高い広告を作ることができます。
やるべきこと:カタログ制作業務の見直し・改善をする
カタログをこれまでに何度か作っており、特に変える点もない、インサイドセールスもまだ早い、と思っていらっしゃるあなた。カタログを本当に変えなくてもいいのでしょうか。ちょっとした工夫で、カタログの制作コストを抑えたり、業務負担を軽減しつつ、より見やすい内容に変えることができるかもしれません。
費用対効果を意識する
あまりクオリティを落とさずに、カタログの印刷価格を下げるには、以下のような手段があります。
・大量印刷してロットを増やす
内容の更新がほとんどなく、かつ追加で印刷を何度も行う程度にカタログの利用率が高いのであれば、ある程度まとめて大量にカタログを印刷することで、1部あたりの費用を下げることができます。
・ショートフォームカタログを作る
コストを下げるために、カタログのうちお客様の人気が高い商品部分や、自社が売りたい商品の部分を中心に内容を再構成して、ショートフォームカタログを作るのもおすすめです。展示会や商談などにカタログを持っていく状況や、商品の梱包にカタログを同梱する状況では、ショートフォームカタログのほうが便利ですし、コストも下がります。
・印刷用紙を薄くする
これまでのカタログより紙を薄いものに変えてみてはいかがでしょうか。紙が薄くなることでカタログの強度は下がりますが、かさばらなくなるという特徴があります。
自社の負担を意識する
(H4)カタログ制作は少なくとも数ヶ月、長ければ1年近い時間がかかる仕事です。通常業務と並行して行う場合、当然作業負担はかなりのものになります。そうした作業負担を抑えるためには、以下のような手段が効果的です。
・カタログ制作をシステム化する
担当者に専門的な印刷の知識があり、かつ掲載する商品がすべて完全にデータ化できたならば、自動組版ツールなどを利用して、カタログを半自動的に制作することが可能になります。
デザインなどの自由度は通常のカタログ制作に比べて劣りますし、ツールを使う準備のために最初はコストがかかりますが、一度テンプレートが完成してしまえば、あとは素材となる商品データなどをまとめるだけでカタログが完成するため、長期的にみればカタログ制作の労力をかなり下げられるようになります。
・カタログ制作を外注する
印刷会社によっては、カタログのデザインやページ構成など、もっともカタログ制作で大変な部分をすべて代理で作り、データを制作し、印刷やWebカタログ作成までワンストップで行ってくれる企業もあります。
そういった会社に制作を外注すれば、カタログ制作の労力を抑えることができます。
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