SNSを誰もが使うようになった現在、SNS広告だけでなく、企業自身がSNSを始めるのもごく当たり前になってきました。
対面の時代が強制的に変化させられた2021年以降、顧客とコミュニケーションをとる場としてもSNSを利用する企業が増えています。
もちろん、SNSの種類は様々です。X・Facebook・LINE・Instagram・Youtubeという主要なSNSに限っても、それぞれ利用層や仕様は異なり、有効なアプローチの方法も変わってきます。
この記事ではSNSを使った集客の方法と、それぞれのSNSの特徴、組み合わせると効果的な販売促進の手法について書いていきます。
SNS集客のメリット・デメリット
SNS集客には当然利点と欠点があります。一つずつお伝えしていきます。
メリット
SNS集客のメリットは以下です。
低コストで始められる
基本的にSNSはアカウントを作るのも、使い続けるのも無料です。投稿を続ける人的・時間的コストは多少かかりますが、スタートコストは殆どありません。とりあえず始めるハードルは非常に低いといえるでしょう。
ターゲットを絞ってアプローチができる
SNSは狙った相手に対してアプローチをかけることができます。例えばFacebookは、ユーザがそれぞれ個人情報を登録していますし、それ以外のSNSも、各ユーザの興味・関心をアルゴリズムから推測しておススメのアカウントを表示する機能がついています。
SNSに限らず、プロモーションはターゲットをきちんと絞り込むのが大切ですが、SNSは絞り込みをある程度プラットフォーム側が行ってくれるため、アプローチの掛け方が楽になるでしょう。
また、メジャーなSNSプラットフォームは国内だけでも数千万人が登録済みのため、多少ニッチな内容でも集客がしやすくなります。
中長期的なファンの育成(ナーチャリング)ができる
SNSは交流の場です。長く続けていくことで、他のユーザとの交流ができるのは言うまでもありません。現実世界でも顧客と上手く交流することでいずれ受注が取れるのと同じく、SNSを上手く中長期的に続けていれば、自然と自社商品を何度も購入するファンが育成できるでしょう。認知拡大による新規顧客獲得だけでなく、繰り返し商品を購入する既存顧客育成にも役立つのがSNSです。
デメリット
もちろん、SNSは万能の解決策ではなく、利点があれば欠点もあります。
すぐに効果を出しづらい(時間がかかる)
とにかく簡単に効果が出ないのがSNS集客の欠点です。毎日積極的に発信しても1年は全く効果が出ない、というのはざらにあります。既に認知している顧客との交流はあっても、新しい顧客からのフォローはさっぱり……そういう状況がしばらくは続きます。じっくりと腰を据えて続けられない状況や、急いで集客しなければいけない状況に対して、即効性のある処方薬にはならないことに気を付けましょう。
継続的な投稿が負担になる
大量の情報が飛び交うSNSでは、日々の情報発信を続けることが、一気に大量の情報を伝えるよりも有効です。できれば毎日、それが難しい場合は週に1‐2回はSNSに投稿を行うべきです。
もちろん、そのためにはネタを集め、写真や動画を撮影し、文章を考える必要があります。一定のペースで投稿するのは簡単そうに見えて結構大変なもの。もちろん日常業務の方はおろそかにできないため、少しずつ負担がかかるのは否めません。
企業がSNSを活用する理由
メリット・デメリットの双方があるものの、BtoB・BtoC企業のどちらも、SNSを積極的に利用しています。大手企業であれば、広報担当者の業務の一つとしてSNSへの投稿が存在することもしばしばありますし、中小・個人企業がたくみにSNSを使って集客し、見事に成功している事例も増えています。
なぜかといえば、たいていの人間は最大公約数で作られた広告や、個人の検索履歴を追跡して表示してくる「あなたにはこちらの商品がおすすめ」式のトラッキング広告よりも、よく知った相手のおススメの方を信用するからです。
あなたがプライベートでSNSを使っているなら、つながっている友達が勧めている商品に興味を持つこともあるでしょう。SNSを使っていない、もっと上の匿名掲示板世代の方なら、専門板のスレッドに書かれている口コミを見て買うかどうかを決めたことがあったかもしれません。
2020年11月にニールセンが行った調査では、最も信頼されるのは知人からのおすすめです。SNSで誰かの知人になれば、それだけで選ばれる可能性がアップしますし、発信する情報も信頼されやすくなります。
なので、多くの企業はSNSを使い、認知拡大や集客を試みるわけです。
コンテンツマーケティングを積極的に行う企業が増えたのも、同じ理由です。コンテンツを使って企業の考え方や技術を知ってもらえれば、それだけ信頼を勝ち取りやすくなるからです。
SNS集客の目的
SNS集客ももちろん、他の販売促進施策と同じく、きちんとした目標・目的をもって行わなければ、印象がぼやけてしまい、効果が薄くなってしまいます。
SNS集客の一般的な目的は以下のようなものです。あなたのやりたいことはどれに当てはまるでしょうか?
販路の拡大
SNSは全国の人間がアクセスする場所です。上手く集客できれば、店舗接客や直接営業の範囲を超えて、大きく販路を拡大することができます。個人商店であってもECサイトを始められる時代ですし、BtoB企業でもWeb問い合わせを活用することで、遠隔地の顧客を獲得できます。
販路拡大を目的とするのであれば、SNSとECサイトの連携、問い合わせページやチャットボットの整備、クーポンや特典情報の掲載などを同時に行うことでより高い効果が発揮できるでしょう。
情報の拡散
SNSにはリアルタイムに情報のやり取りができるという利点があります。訪問が必要なWebサイトと違い、フォローや友達申請、チャンネル登録などをしておけば、発信した情報をすぐに確認できるため、こちらが発信した情報をすぐに顧客に伝えられます。
これによってタイムラグなく情報を伝えられる他、シェア機能などによって顧客同士で情報を伝え合うことができるため、情報が広まりやすいです。
ファン客の獲得・維持
魅力的な商品やコンテンツを紹介していくうちに、あるいはSNS担当者の人柄に惹かれて、少しずつそのアカウントに良い印象を持ったユーザーが増えてくる、ということがあります。
SNSはアカウント同士のつながりを「フォロワー数」や「友だち数」、「いいね! 数」などで定量化しやすいことから、ファン客の獲得や維持がどの程度できているかを見える化できるのも利点です。
SNS選定のポイント
では、SNSを選ぶ・運用していく上でのポイントを挙げていきます。
運用目的を明確にしておく
SNS集客が上手くいかないのは、たいていの場合目的が明確ではないからです。既に述べた目的のうち、何がしたいのかを明確にしましょう。そのうえで、目的に沿った行動を誰かに取らせるには、何をすべきなのかを考えると、今後の戦略が立てやすくなるはずです。
販路の拡大目的であればECサイトなどとの連携を強めたほうがいいでしょうし、ファン層を獲得したいなら親しみをある程度持たせる必要があります。
目的がないままにSNSを始めると、いずれ「何を書けばいいのかわからない」状態に陥ります。SNS集客を成功させるには、定期的に投稿する必要があるため、きちんと目的を決めて、何を書くべきかを考えておきましょう。
そのうえで、定量的な目的も決めておきましょう。例えば、SNSからの流入顧客を1年で30人増やす、フォロワー数を500人にするといった目標を作れば、各月でクリアすべきマイルストーンも決まります。
SNS担当者や運用ポリシーを決める
それから、誰がSNSを担当するのか、どのようなポリシーで運用するのかを考えましょう。
事務的な投稿を繰り返すだけではSNS集客は上手くいかないため、どうしても硬くない内容を投稿する必要が出てきます。そんな時、SNS担当者の人柄はSNS集客の成否にかかわってきます。
また、SNSの運用ポリシーを決めておき、その枠内からはみ出さないように投稿内容を考えるのも大切です。ポリシーを決めておくことで、設定した目標のようにSNS集客が上手くいかなかったときに、内容が過激化したりぼやけるのを防ぐことができます。「炎上商法」という言葉や、「悪名は無名に勝る」といった言葉は20年前には確かに通じましたが、SNSが普遍化し、より多くのターゲットに情報を伝えられる今の時代では、過激な内容は単に顧客にその商品を選ばない口実を与えるだけに終わります。
続けられるものを選ぶ
とにかく長く続けなければ効果が出てこないのは、SNSに限らずプル型の販売促進・集客戦略のすべてに言えることです。
発信の内容を文字ベースにするのか、画像ベースにするのか、動画ベースにするのか、といった選び方でもふさわしいSNSは変わってきます。また、内容をどの程度凝るのか、どの程度のペースで発信を行うのか、それによってもふさわしいSNSは変わってきます。
とにかく大切なのは背伸びしないこと、無理をしないこと、そして続けることです。続かない内容にすると、結局効果が出る前にSNSを終えることになり、コストだけを無駄にすることになります。
各種SNSの特徴
では、それぞれのSNSプラットフォームの特徴について、説明していきます。
X(旧:Twitter)
利用者数6,600万人(2023年時点)を発表している、140字のつぶやきを簡単に投稿できるSNSです。
中心となる年齢層は20代から30代の男女であり、総務省の調査では比較的積極的に情報を発信する人物が多いのが特徴です。
Xの特徴は「即時性」と「拡散性」と言われており、リポストというつぶやきの内容をシェアする機能や、ハッシュタグという特定の言葉を検索させる機能がついています。
Xは大量の人々に気軽に内容を届けられますが、一方で140字という制約があるため載せられる情報は大きくありません。短く、かつ誤解を招かないよう内容をまとめる必要があります。
また、匿名での登録が可能であるため、攻撃的・クレーマー気質のユーザーが集団でアカウントを攻撃する「炎上」が発生しがちなのも特徴です。
世界の月間利用者数が29億1,000万人(2022年1月時点)、日本国内の月間利用者数2,600万人(2019年7月時点)を発表している、実名登録型のSNSです。
中心となる年齢層は40代以上が多いですが、20代から50代までの幅広い相手が利用しています。
原則として実名であるため、見込み顧客の情報を収集しやすいことが利点です。また、個人アカウントではなく、企業向けのビジネス用のFacebookページが用意されており、広告掲載やアクセス解析ツール、外部サイトとのリンク機能などを簡単に使えるため、BtoB・BtoCどちらのビジネスで利用するにも効果的です。
国内のアカウント数が6,600万人(2023年12月時点)を突破している、写真・動画投稿を中心としたSNSです。
利用者の男女比が2:3と女性に人気であり、中心となる層は10代~30代です。
また「インスタ映え」という言葉が生まれる程度に見栄えが重視されます。
基本的には写真・動画が中心となったSNSのため、硬い内容を伝えるよりは動画を使った簡単なメッセージが好まれます。そのため、どちらかといえばBtoC向けのSNSです。
LINE
国内ユーザー数9,500万人(2023年6月末時点)の、国内シェア最大のメッセンジャーツールです。10代から60代以上の幅広いターゲットが利用しています。
直接LINE上で使用できるクーポンやショップカードサービスなど、チラシやダイレクトメールに近い感覚の配信も行えるのが強みです。
LINEは基本的に情報を広く拡散することより、ダイレクトメールのようなパーソナライズした情報を伝えるのに向いています。
Youtube
ユーザー数7,120万人(2023年5月時点)を超える世界最大の動画投稿サイトであるYoutubeもまたSNSです。
Youtubeを使った集客は、例えば会社紹介動画、商品紹介動画、工場が稼働する所を写した動画や、ウェビナー・便利情報の配信といった動画コンテンツを使って行います。
Youtube単体では拡散能力が殆どなく、検索能力も劣悪なため、基本的には他のSNSやWEBページなどの媒体と組み合わせて使われます。
業種別おススメSNS
それでは、各業種別におススメのSNSは何かを紹介していきます。
飲食店
飲食店のおススメのSNSは以下です。
- X
- LINE
- Youtube
毎日リアルタイムに更新できること、料理などのシズル感を動画や写真を使って伝えられること、という2つの点が大切です。
Xは情報の拡散力が高いため、情報の鮮度が高い状態で誰かに伝えたい内容を伝えることができます。そのため、例えば本日のメニューを伝えるのに向いています。
写真や短い動画がメインのInstagramは、一目で提供している料理や店舗の内装をユーザに見せられるため効果的です。
Youtubeはもう少し長い動画を使い、店舗で提供している料理の調理風景や、料理のうんちく等を伝えることに向いています。
LINEは店舗に集客するというよりは、集客したお客様をリピーターに変えるために、クーポンサービス等と組み合わせて使います。
機器販売、メンテナンス業
ガス・水道などの機器販売やメンテナンスサービスを行っている企業におススメのSNSは以下です。
- Youtube
顧客との信頼関係醸成が重要で、かつ検討に時間をかける商品を取り扱っているのであれば、一番向いているSNSは実名登録制のFacebookです。企業名でビジネス用のアカウントを登録でき、顧客との会話もやりやすいため、長いお付き合いを求めるならFacebookを使うのがいいでしょう。
また、自社商品を利用されている地域の企業(例:ガス機器を使われている地元のレストランなど)や、自社商品(コンロやキッチン用品など)を使った家事を紹介するInstagramアカウント・Youtubeチャンネルを開設することで、店舗周辺の顧客や企業とのつながりを強められます。機器販売業者でInstagramアカウントを活用されている例としては、藤阪ガスセンターなどがあります。
不動産業
不動産を取り扱う企業におすすめのSNSは以下です。
- X
物件情報を速報的に紹介するのであれば、Xがもっとも向いています。が、飲食店ほど情報の鮮度を求められておらず、また顧客がある程度じっくりと検討する不動産業であれば、ターゲットとする顧客の絞り込みがやりやすいFacebookも効果的でしょう。
また、物件周辺の地域情報をInstagramを使って発信することで、物件を下見する前に顧客が生活をイメージしやすくなります。
BtoB企業(製造業)
- Youtube
BtoB企業の場合、購入や成約の意思決定に関わる人が多く、非常に長いスパンで情報収集や検討が行われるため、顧客情報を収集してターゲットに合った内容を発信できる、Facebookを使った情報発信が効果的です。
また、作業や工場の稼働風景を録画したり、自社商品の仕様・マニュアルなどを動画化することによってブランドイメージの工場や成約後のカスタマーサクセスが伝わりやすくなるため、Youtubeによる動画発信も良い手段です。
SNSと組み合わせると効果的な集客方法
SNSだけで集客するのではなく、他の集客施策と組み合わせることで、更にSNS集客の効果をアップできます。
ブログ
まとまった情報はSNSでは見づらく、情報にアクセスするのも難しいもの。SNSはあくまでも発信の場として、きちんとまとまった内容は別途ブログなどのサービスを使って掲載するのがおすすめです。
ある程度コンテンツが増えてきた場合、企業ブランディングにも繋がり、コンテンツマーケティングとして効果を発揮し始めるでしょう。
ダイレクトメールやポスティング
ダイレクトメールやポスティングチラシを使った販促の際に、電話連絡先やメールアドレスに加えて、2次元コードを使ってSNSへのリンクを貼ってみるのも良いでしょう。
LINEアカウントの場合クーポンサービスとも連携できるため、LINEの弱点である拡散力の弱さを補え、集客効果をアップできます。
マグネットシール・粗品
自社の連絡先などを書いたマグネットシールにSNSリンクを貼っておくのはいい方法です。電話やメールなどを書いただけではあくまでも顧客からの連絡ありきの受動的な情報発信しかできませんが、SNSアカウントを閲覧してもらうことで、能動的な情報発信が行えるようになります。
Googleマイビジネス
Googleマイビジネスとは、Google検索上に自社の情報を掲載できるサービスです。無料で導入することができ、2024年12月時点ではX・Facebook・Instagram・YouTube・LinkedIn・Pinterest・TikTokとも連携することができます。
所在地、営業時間、連絡先、予約情報、商品情報だけでなく、SNSの直近の投稿や投稿された口コミも掲載できます。また、予約の可否や混雑具合などもある程度リアルタイムに反映されます。
Googleマイビジネスを活用することで、企業名で検索した方をSNSにも流入させることができ、SNS集客が簡単になります。
土山印刷はSNS集客をお手伝いします
さて、SNS集客について簡単に書いてまいりましたが、お役に立てましたか? この記事が参考になれば幸いです。
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SNSを使った集客が上手く行っていない、SNSを始めてみたいが人手が足りない、そのようなお悩みがあればぜひとも土山印刷にご連絡ください。
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