公開日: 2021年2月19日 - 最終更新日:2022年3月23日

失敗しない木材への印刷。印刷の方法や表現手法、注意すべき点とは?

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木材に印刷をしてみたいと思っているけれども、どのようなやり方が最適なのかわからない。あるいは、木材に印刷をしてみたけどうまくいかなかった。そんな方に向けて、失敗しない木材印刷の方法をお伝えします。

 

木材印刷の方法

木材印刷の一般的な方法は以下のようなものです。

パッド印刷

パッド印刷とは、シリコンやゴムで作られたパッドに版を押しあて、転写したものを板などに再転写する印刷です。柔らかなパッドを押し当てるため、曲面などにも印刷可能であり、細線の再現にも比較的強いという特長があります。また、有版印刷であるため量産性が高いのも利点です。

ただし、パッドより大きなサイズの印刷は行えないため、小さな木材の表面などに印刷するのには向いていますが、大きな看板などには向きません。また、印刷物に直接インキを乗せるため、グラデーションカラーなどは印刷するのが難しいですし、乾燥時間が必要になります。

シルクスクリーン印刷

シルクスクリーン印刷とは、文字通り布製のスクリーンを版とした印刷です。かつての時代は版に絹の布が使われていましたが、今は化学繊維の布が使われています。スクリーンにインキを塗りつけると、スクリーンが文字や画像の部分だけインキを通し、印刷物に転写します。昔、家庭用の印刷機として販売された「プリントゴッコ」はシルクスクリーン印刷の一種です。

シルクスクリーンの強みは一度版を作れば量産ができることです。

もちろん、一般的な有版印刷であるCTP(コンピュータデータ化した印刷物を薬品処理したアルミ版に焼き付け、版とする手法)に比べれば布の版は耐久性に劣るものの、それでも同じ印刷物を多数短時間に作ることが可能です。また、印刷物に直接インキを乗せるため使う色の色の自由が効くという点があります。
ただし、シルクスクリーン印刷は細かなディティールの再現には向きません。どうしても細かな部分がつぶれてしまうためです。そのため写真などの印刷には向いていません。また、インキを塗りつけ、決まった部分にだけ通すという工程であるため、グラデーションを再現するのは難しいです。加えて、シルクスクリーンは液体のインキをものの表面に着けるため、乾燥のための時間が必要になります。

UVインクジェット

UV印刷は紫外線で硬化する特殊インキを使った印刷です。構造としてはいわゆるインクジェット印刷機の大型のものに似ているのですが、インキを吹き付けた後に紫外線ライトが照射されるという部分が異なっています。これによりインキは吹き付けられた後急速に硬化し、表面に定着します。

UV印刷の強みの一つは、シルクスクリーン印刷と比べ、通常の印刷機と同程度の精密な印刷が可能という点です。

もう一つの強みはインキが急速に硬化するという点です。これによって、UV印刷は他の印刷のように乾燥する時間を待たず、次の工程に入ることができます。

また、インキが硬化するためこすれや水に強く、紫外線硬化素材であるために屋外で長期間さらされていても劣化しづらいです。

さらに、急速硬化したインキの上に新しいインキを重ねることができ、繰り返すことで表面を盛り上げるような加工を施すことができます。

しかし、UV印刷では使用する機械の規格と素材があっているかを確かめなければなりません。これは版が布であるために比較的自由がきくシルクスクリーンに比べて素材には制限がかかります(とはいえ、紙にしか印刷できない一般的な印刷機と比べればはるかに融通が利きますが)。また、1つ1つの印刷に時間がかかるため。シルクスクリーンよりも量産性の面では難点があります。

レーザー焼き付け/焼き印

レーザー加工機や高熱の金属版を利用して、木材の表面を焼き焦がすことで図画を表現する方法で、厳密には印刷ではありません。

直接木材の表面に焼き付けるために劣化はほとんどしません。ただし、インキなどは使わず、焦げの濃淡だけで表現を行うため、カラー表現は当然ながらできません。

印刷種類 利点(メリット) 欠点(デメリット)
パッド印刷
  • 曲面に印刷できる
  • 量産性が高い
  • 印刷の精度がよい
  • 使う色の自由が効く
  • 大サイズのものに印刷できない
  • グラデーションカラー等の印刷には向かない
  • 乾燥時間が必要
シルクスクリーン印刷
  • 量産性が高い
  • 素材の自由が利く
  • 使う色の自由が効く
  • 印刷の精度が悪い
  • グラデーションカラー等の印刷には向かない
  • 乾燥時間が必要
UV印刷
  • 印刷の精度がよい
  • 重ね塗りによる表現の幅がある
  • 乾燥時間不要
  • 機種によっては使えない素材がある
  • 量産性に難あり
焼き付け
  • 劣化しない
  • そもそも印刷ではない
  • カラー表現はできない

つまり、ある程度大きなサイズで小ロットの印刷であれば、UV印刷が最も合理的な選択肢になります。

 

UV印刷に適した木材、適していない木材

しかし、すでに書いた通り、UV印刷は素材を選ぶという欠点があります。どんな木材でも印刷できるわけではありません。

それでは、UV印刷に向いた素材はどのようなものでしょうか。

適した素材:表面塗装済の木材

表面が塗装加工されている木材は特にUV印刷に適しています。UVインキが乗りやすく・定着しやすくなるため、発色性の高い印刷が可能となります。

印刷可能なもののベストではない素材:表面塗装がされていない木材

未塗工材に印刷した例。下の木材の色を活かして、蜂蜜の色を表現しています。

表面塗装がされていない木材にも、もちろんUV印刷は可能です。ただし、塗装済みの木材と比べて発色性が劣るため、「思ったより鮮やかな色が出ない」といったことが起こります。逆に言えば、素材の持つ本来の色を活かすことができるため、茶系のカラーを印刷する場合はあえて塗装がされていない木材を選ぶという選択もありです。

不適な素材:乾燥不十分な木材

充分に水分が抜けていない木材の表面にUV印刷を行った場合、木材のひび割れや反り返りによって硬化したUVインキの定着が弱くなったり、表面にひびが入ってしまうことがあります。また、充分乾燥した木材でも、屋外での利用の際に極端に多湿の環境にさらされることで水分を含んだ結果、反り返りやひび割れが起こり、結果品質が低下する可能性もあります。

不適な素材:UV印刷機を通らないほど巨大な/厚みのある木材

UV印刷機を通らないほど大きかったり厚い素材は、木材に限らず印刷不可能です。例えば、土山印刷が使用しているTruepress Jet1600UV-F2であれば、幅:最大 1,602 mm、長さ:最大 3,100 mm、厚さ:50 mmが印刷の限界サイズです。

 

木材へのUV印刷を失敗しないためのポイント

では、失敗せずきれいにUV印刷を行うためには、どのような点に気を付ければよいでしょうか。

表面塗装済み木材を使う

鮮やかな緑や黄色を濁らせないために、ホワイトインキを一度パイナップルの画像部分に下敷きし、影部分はそのまま印刷しています

表面未塗装の木材にUV印刷を行った場合、表面に凹凸があるために発色性が落ちます。表面にニス塗装などが行われている素材であれば、イメージに近い色の印刷が行いやすくなります。

また、より印刷色を白紙に刷ったものに近づけたい場合、UV印刷であれば画像の下に白インキを敷き、その上に印刷を行うことで色の濁りを取ることができます。

数量に気を付ける

UV印刷はシルクスクリーン印刷等に比べると、比較的大量印刷には向いていません。そのため、100程度の小ロット印刷であればともかく、1000-10000を超える数量の印刷は、UV印刷向けではありません。量が必要ならば、UV印刷ではなく、ほかの印刷方法を選ぶのがよいでしょう。

UV機のスペックを確認する

UV印刷機では印刷不可能なほど大きい・厚い素材ではないか、依頼前に必ず確認をしておくことが大事です。印刷会社などへ依頼をする前には必ず自分の印刷したい木材の種類と大きさ、厚みを伝え、UV印刷が可能かを尋ねましょう。

印刷後の環境に気を付ける

木材は湿度によって伸縮や反りを起こしやすい素材であり、また長期間雨風にさらされると金属よりも素早く朽ちる素材でもあります。

UV印刷はインキを素材の上に載せ、紫外線で急速に硬化させるものです。そのため木材自体が反ったり伸び縮みすると、UVインキがひび割れたり剥落することがあります。

そうした伸縮が起こりやすい、風雨にさらされる場所や湿気の強い場所にUV印刷した木材を置いておくと、すぐに劣化が起こってしまいます。

どうしても湿気の多い環境でUV印刷した木材を利用するなら、ひび割れや剥落を防ぐために、木材全体に防水ニスを引くなどの加工を追加で行うのがよいでしょう。

 

低コストでの木材印刷DIY

本格的な印刷ではなく、簡単に自分で木材に印刷したい場合は、木材印刷用の熱転写式プリントシートを使ってみてはいかがでしょうか。

一般的なプリントシートであれば、印刷したい画像をシートに反転印刷し、アイロンで木材に張り付けて、裏紙をはがすことでプリントが可能です。

簡単に印刷が可能ですが、家庭用インクジェットプリンタはプロ仕様の印刷機と違い、印刷効率や精度は劣ることに注意が必要です。

本格的な木材印刷をしたいなら、やはり印刷会社に依頼するのが最適でしょう。

 

ほかの素材へ印刷するなら

木材だけではなく、ほかの素材への印刷も行いたいのであれば、熱転写式プリントシートの種類をより適切なものに変更する必要があります。多くの場合、熱転写シートは素材の種類ごとに仕様が異なっており、最適なものを使わなければうまくプリントできないことがあります。

また、アクリル板などの熱に弱い素材であれば、アイロンの熱で破損してしまうことがあります。アクリル板への適切な印刷方法が知りたい方に向けて、このような記事を土山印刷は提供しております。

UV印刷ならこのような木材だけでなく、このような素材にも印刷可能です!

アクリル素材

スチレンボード

段ボール

木材

ゴムシート

金紙

キャンバスボード

シール素材

緩衝材(プチプチ)

ビー玉

 

土山印刷のUV印刷について詳しく知りたい方はこちら!

https://www.tsuchiyama.co.jp/wuvij_print/

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土山印刷株式会社は京都府に本社を構える印刷会社です。 土山印刷では紙の販促物を使って営業力を強化したいお客様のお手伝い・サポートを行っております。
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