公開日: 2020年8月21日 - 最終更新日:2022年9月2日

土山式効果流:デザイン・マーケティング忍法万川集海③「書体と色~文字と配色テクニックの術~」|マーケティングコラム

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土山印刷は100年に渡り、DMやカタログ、チラシを使ったマーケティングを行ってきました。
100年かけて連綿と受け継がれ、ブラッシュアップされてきたデザインとマーケティングの術は、ちょうど忍術のように秘伝となってきました。
しかし、これまで社外にはお見せしなかったマーケティング術を、特別に公開していきます!
甲賀流忍術の書『万川集海』ならぬ、土山式”効果”流のデザイン・マーケティング術、ぜひともご覧ください。

 

忍法その3:「書体と色~文字と配色テクニックの術~」

前回はストーリーを決め、どうやってお客様の購買を促すのかについて書きました。

では、第三回では、ストーリーを具体的なデザインに落とし込むための手段、つまり書体や色の選び方について説明していきましょう。

書体の選択肢

文字には様々な種類がありますが、おおよそ以下のように分けることができます。

  1. ローマン/明朝体:エレガント、上品な雰囲気がある明朝体は、ある程度長い文章を読ませる際には一番向いていますが、見出しとしてぱっと見せたときの可読性はあまりよくありません。
  2. サンセリフ/ゴシック体:明朝体とは逆にゴシック体は目立ちやすく、短い文章を見せるには一番向いています。そのため、見出しなどに使うといいでしょう。
  3. エジプシャン:エジプシャンはポスターなどに使われる下駄がついた分厚いフォントであり、日本語フォントではトメやハネを強調したゴシック体などに当たります。こちらも見出し向きですが、力強い印象を与えるため、特に目立たせたいものに使うのがいいでしょう。
  4. スクリプト:スクリプトは英語の筆記体であり、日本語フォントでは草書体フォントや筆文字、楷書フォントがスクリプトと同じ役割を持ちます。躍動的できれいですが、可読性はあまりよくはありません。非常に強い印象を与えることができるので、適切に使うと大変効果的です。
  5. オーナメント:オーナメントとは飾り文字のことです。いわゆる手書きフォントや装飾のたくさんついたフォントがこれに当たります。とても目立ちますし、広告に合ったものを使えば大変効果的ですが、おおむね可読性がとても悪いので本文には向いていません。

デザインにおいては、とりあえず一見して目立ちやすいゴシック体をタイトルや見出しに、文字の多い本文を明朝体にしておくのがいいでしょう。

また、文字は太ければ太いほど目立ちやすく、細いほど読みやすくなります。

あえて明朝体をタイトルにするならできるだけ太くして目立たせ、本文にゴシック体を使うならできるだけ細くして読みやすくするのがいいでしょう。

文字と文字の間の開き方

行間があまりに広いと読みづらいですが、狭いとそれはそれで読みづらいものです。

左から順番に、行間のアキが全角・半角・1/4アキとなっていますが、全角はかなり行間が広く感じ、1/4アキではかなり窮屈に感じるでしょう。

基本的には文章の行間は半角アキにするのがもっとも読みやすいです。

字間は文字サイズによって適切なものは変化します。

画像ではベタ組(いわゆる一般的な字間)、広く字間を取ったもの、字間を狭くしたものです。

あまり広くすれば読みづらくなってしまいますし、狭くしすぎれば文字が重なってしまったり狭くるしく感じます。

文字のアキは、おおよそ文字の1/10の字間を開けると意識すれば、すこしゆとりがあって読みやすいものになるでしょう(20ポイントの文字であれば、2ポイントくらいのアキを作る)。

行があまりに長すぎると可読性が落ちるので、横いっぱいに広げるよりはある程度のところで切っていく方が良いでしょう。

また、一行が長いほど行間は空けておき、短ければ行間を少し詰めるのがおすすめです。

 

写真/イラストのトリミング

写真やイラストを選ぶ場合、その中の何に注目させたいかで写真をトリミングする位置を変えましょう。

被写体に寄った(アップの)トリミングを行うか、引いた(ロングの)トリミングを行うかで、同じ写真でも印象は大きく変わってきます。

例えば、モデルの髪を印象付けたい写真があれば、引いたトリミングに、

表情を印象付けたい写真があれば、もう少し寄せたトリミングに、

着けているアクセサリーを印象付けたいなら、さらに寄せたトリミングにするといいでしょう。

ただし、あまりにも写真を寄せすぎると、何の写真なのかよくわからなくなってしまいます。

人間の視覚には、見えない部分を頭の中で補完して全体像を認識するアモーダル補完という機能があるのですが、寄せすぎればその機能が上手く働かなくなってしまい、何の写真なのかが分かりづらくなってしまいます。

 

色選びの方法について

色を選ぶ際には「色相」と「明度」の2つを意識してみましょう(本格的なデザインでは、これに加えて色の鮮やかさである『彩度』も意識しますが、最初は2つでも十分です)。

色相、つまり色の種類と、明度、つまり明るい色か暗い色かの組み合わせによって、人に与える印象は大きく変わってきます。

この時に重要なことは組み合わせです。

色はたくさん組み合わせればいいというものではありません。たくさんの色をめちゃくちゃに使えば、目がちかちかして、重要な情報が伝わらない広告ができてしまいます。

以下のような配色のルールに従った色の組み合わせを考えることで、色を効果的に使うことができます。

ちなみに、赤色や黄色は飛び出して見え、青色や緑色は後退して見えるという色の特徴があります。青地に赤いロゴを使えばロゴがかなり飛び出て見えますし、黄色地に緑のロゴを載せればロゴがかなり奥に見える効果を与えることができます。

色の上に文字を乗せる場合、色の明るさによって見やすさが大きく変わります。

表を参考にして、一番見やすい色と文字の組み合わせを選んでください。

 

忍法その3まとめ

大事なことは……

  • どんな文字をどう使うか
  • 写真やイラストは寄りが引きか
  • 色をどう組み合わせるのか

ストーリーに合ったものを選ぼう!

 

では、次は配置について……

文字や配色、使う写真やイラストを決めたなら、次は配置を考える時間です。

全体のどの位置に何を配置すればいいのかについて、次回は考えていきましょう!

 

石山智男 略歴
1954年福岡市天神(中央区今泉)生まれ。1977年からプロダクションデザイナー、アートディレクターとして、広告制作、レタリングデザイン、パッケージデザイン開発等を担当。1992年からコカ・コーラ社マーケティングプログラムのガイド制作や実施活動支援を担当。「生産性の高い売り場づくり」実現のためのスペースマネジメントをカタログや店頭演出に応用した理論を構築。またクリエイティブワークをスピーディに行うための企業セミナーを開催。ブランディング領域でもイオンプライベートブランド「トップバリュー」のパッケージデザイン開発など多数。2012年から2022年まで、土山印刷にてマーケティングミックス・デザインワークのコーチングを担当。シニアホビーコンサルとして書道、楽器演奏、スポーツの楽しみ方の紹介活動を行っている。

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土山印刷株式会社は京都府に本社を構える印刷会社です。 土山印刷では紙の販促物を使って営業力を強化したいお客様のお手伝い・サポートを行っております。
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